従業員の専門知識向上等を目的として、予備校の授業料や資格取得費用等を学資金として貸与する企業ってありますよね。例えば、“初学から2年以内に試験に合格すれば貸与した学資金は免除するが、2年以内に合格できれなければ学資金は全額返済してもらう”等の条件付で従業員に学資金を貸与するケースです。
従業員からすればの試験に合格できるかどうかで学資金が免除されるか又は返済すべきかきまるので俄然モチベーションがあがります!!
今回は、試験合格等の一定の条件を満たした場合に返済が免除される学資金の税務上の取り扱いについて設例を使用して整理してみました。
まずは仕訳で表現
(設例)
A社は従業員 Bさん(役員の親族ではない。)に職務に直接必要な資格取得費用として一定の条件のもと学資金10万円貸与しました。※支給方法は、通常の給与に加算して学資金を一旦支給
一定の条件とは、“その資格試験について初年度で合格すれば貸与した奨学金は全額免除するが、合格できれなければ奨学金は全額返済してもらう”とのことです。
今回の設例を仕訳で表現すると、上記のようになります。
①及び②-2は資産・負債取引なので特に税務論点はないです。
今回税務論点のテーマは、個人側の黄色ハイライトの免除益10万円の取り扱いです。
税務上の取り扱い
<結論>
免除益10万円は、所得税において非課税となります。
(法人側は教育訓練費として損金算入)
<根拠>
【所法9①】において、学資に充てるため給付される金品(いわゆる「学資金」)は、通常の給与に加算して支給する費用であること(要件①)、役員や親族の使用人など一定の者の学資に充てるものでなければ(要件②)、給与その他対価の性質を有するもの除き非課税となる旨が規定されています。
また、学資金とは一般に学術又は技芸を習得するための資金として父兄その他の者から受けるもので、かつ、その目的に使用されるものをいうものとされ、学資金には、金品として給付される場合だけでなく、金銭を貸与し、その後に一定の条件によりその返済を免除する場合の経済的利益も含む(要件③)ものとされています。(国税庁・質疑応答事例「従業員に貸与した奨学金の返済を免除した場合の経済的利益」)
<あてはめ>
今回のケースは、一定の条件をもとに学資金を貸与し、その条件を満たしたことで学資金の返済を免除したため要件③を充足します。
また従業員Bは役員の親族ではなく、従業員B本人の資格取得費用であるため要件②を充足し、通常の給与に加算して学資金を支給しているため要件③を充足しています。従って本件免除益10万の所得税の取り扱いは非課税となります。
ただし、資格取得費用が職務に直接必要ではない資格に係るものであるで場合や学資金の額(貸与後一定の条件をもとに免除された金額)が資格取得費用として適正な金額でなければ給与課税されるリスクがありますのでその点留意が必要です。
それにしても、従業員の資格取得を応援してくれる経営者って素敵ですよね(^^)/
私も税理士試験の受験生時代に、「税理士試験の予備校代は、何年以内に試験合格すれば事務所に半分負担してもらえるから絶対合格してやる」という血気盛んな勉強仲間がいて正直うらやましかったです( ;∀;)
(関連規定)
所法第9条①十五、所基達9-14、所基通36-29の2
-編集後記-
関西でも昨日、緊急事態宣言が発表されましたね( ;∀;)
昨年の年末に今年の1月中旬から下旬にかけて呑みの約束をいろんな人と約束してたのですが、一旦は延期です。自粛期間中は家にいる時間が増えますが、屋内でも有意義な時間を過ごせるように何かしら工夫して行こうと思います。
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