【相続税】被相続人の方が亡くなる数か月前から大量の現金を引き出すことは節税対策になるのか?税務調査のターゲットになりやすい。

土地の現地調査後、奈良市水間町のハーブクラブでランチ
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税理士
にお あつし

こんにちは!

マラソン・バイク・フルートをこよなく愛する

京都府長岡京市在住の税理士の丹尾 淳史(にお あつし)です。

今回は、相続税について、生前の大量の現金引出しのリスクについて綴ってみました。

被相続人の預金の現金引出しが節税対策として流行っているらしい

相続税業務の打合せのときに被相続人の方の通帳を見ていると、被相続人の方が亡くなる数か月前から預金から現金50万円/回を何回も大量に引き出されているケースを見かけることがあります。

お客さまにその理由をお聴きすると「会社の同僚に相続税対策の相談すると、被相続人の方の生前中になるべく多くの現金を引き出しておけば相続税対策となるとアドバイスを受けた」とのこと。

例えば、被相続人の方の預金残高が4,000万円あったとして、被相続人の方が亡くなる数か月前から50万円の現金引出しを20回したとします。

相続税を計算する際の預金の評価額3,000万円(4,000万円△50万円×20回)となるため、パッと見は相続税対策となると思いきや、新たに現金という財産を認識して、現金1,000万円と評価する必要があります。

つまり、預金4,000万円が預金3,000万円と現金1,000万円に分かれただけで、財産全体の評価額は同じになります。

そのため節税対策はなりません。

大量の現金引出しは違和感しかない

通帳から、その人の性格やライフスタイルを読み取ることができます。

例えば、私の通帳の出金履歴を見ると、家賃、電気代、保険料、クレジットカードの決済、音楽教室の月謝などが毎月同じタイミングで預金から支払いを行っています。

現金引出しも月初に5万円、1ヶ月に数回1回につき1~3万円程の金額を引き出すぐらい。

金額の大きな支出がなければ、この流れを毎月繰り返しています。

この通帳の流れで、例えば急に1回に50万円の現金引出しを何回も繰り返せば、その通帳を見た人は違和感を感じることでしょう。

これは税務署も同じ。

税務署は金融機関に要請して、被相続人や相続人の通帳を閲覧することができます。

税務署が被相続人の方の通帳を閲覧して、被相続人の方が亡くなる数か月前から預金から1回につき現金50万円を何回も引き出されているケースを確認した場合、

「何か怪しいな。脱税の気配がする。相続税の申告をしていなかったり、申告をしていても現金という財産を認識してなければ、税務調査のターゲットにしよう」

と判断される可能性が高くなります。

葬式費用として予備費とて引き出すのはありか?

葬式費用を被相続人の方の通帳から生前に引き出すことがあります。

例えば、被相続人の方の預金残高が4,000万円あったとして、被相続人の方が亡くなる数か月前から葬式費用の予備費として200万円の現金引出しを行い、被相続人の方が亡くなったあとに、その200万円を原資として葬式費用を支払ったというケースです。

この場合も前々節と同様に、

相続財産を預金3,800万円と現金200万円に区分して評価します。

また、葬式費用200万円は相続財産から控除することができます。

相続税は、相続財産(プラスの財産)から債務・葬式費用(マイナスの財産)を控除した純資産が課税対象となります。(預金3,800万円+現金200万円△葬式費用200万円=純資産3,800万円)

このとき、現金200万円を認識せず、

預金3,800万円△葬式費用200万円=純資産3,600万円

として相続税の申告書をした、又は、相続税の申告しなかった場合には、やはり後々税務調査のターゲットになり指摘されることもありますので注意が必要です。

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当事務所は資産税(相続税、贈与税、譲渡所得税、不動産評価、自社株評価など)に強い長岡京市の税理士兼行政書士です。

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-編集後記-

午前中は資産税業務。

午後から税務顧問業をし、夕方15kmのペース走をしました。

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