【相続税/贈与税】年金、高額療養費、介護保険料、税金などの未収・未払の取扱い

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相続税申告の際に亡くなった後に年金・高額療養費・葬祭費・保険料の未収入金関連の書類所得税、住民税、固定資産税、介護保険料など未払金関連の書類が定期的に遺族のもとに届きます。

今回は、このような未収入金、未払金の公租公課の相続税申告書上の取扱いについて整理しました。

1. 相続開始後の入金の一般的な取扱い

① 未支給年金

相続財産に該当しない


死亡後に未支給年金が入金されることがありますが、こちらは相続財産ではなく相続人の固有財産と考えます。(相続人の一時所得として所得税の課税対象)

② 高額療養費

相続財産に該当する

 
医療費の自己負担額が高額になった場合において、自己負担限度額を超えたときに支給されるものになりますが、この入金が死亡後にあったときは相続財産として計上することとなります。

③ 葬祭費・埋葬料・埋葬費

相続財産に該当しない

 
国民健康保険の場合には、葬祭費、健康保険の場合には、埋葬料、埋葬費といった名目で死亡後に5万円などが支給されます。
これらの支給は国民健康保険法第68条、健康保険法第62条において、それぞれ「租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。」と規定されていますので相続税は課税されません。

④ 所得税等の還付金

相続財産に該当する

 
被相続人に係る所得税や住民税の還付金で死亡後に入金されたものは相続財産に該当します。

⑤ 還付加算金

相続財産に該当する

 
被相続人が申告等手続きをした後に亡くなった場合において、その手続きに基づき還付加算金を取得したときは、その死亡日までの期間にかかる金額は相続財産に該当します。

⑥ 準確定申告に係る所得税の還付加算金等

相続財産に該当しない

 
被相続人の準確定申告に係る所得税の還付加算金は、確定申告書の提出により原始的に取得するものであることから相続人の固有財産となります。(相続税の対象とはならずに相続人の所得税(雑所得)の対象。)

⑦ 国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料等の過誤納還付金

相続財産に該当する

 
死亡後に生前に納付した各種保険料の過誤納金が還付されることがありますが、こちらの還付金はただの返金となりますので相続税の課税対象となります。

⑧ 国民年金死亡一時金

相続財産に該当しない

 
国民年金法第25条に、「租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として、課することはできない。ただし、老齢基礎年金及び付加年金については、この限りではない。」とされています。したがって、被相続人の遺族が支給を受けた「国民年金死亡一時金」については、相続税は課税されません。
また、国民年金基金の遺族一時金についても上記条文を国民年金法第133条にて準用しているため相続税は課税されません。

⑨ 重度心身障害者医療費助成金

相続財産に該当する

 
重度心身障害者医療費助成制度は、障害がある方とその家族の経済的負担を軽減するため、医療機関を受診した場合の医療費の一部を都道府県や市で助成する制度です。相続開始後に被相続人に係る当該助成金が振り込まれた場合にはその助成金は相続財産を構成します。

2.相続開始後の出金の一般的な取り扱い

① 所得税

債務控除の対象

 
死亡後に納付する被相続人に係る所得税については債務控除が可能です。死亡後に手続きをする準確定申告に係る所得税についても債務控除が可能となります。

② 住民税

債務控除の対象

 
住民税の納付が残っていた場合には死亡後に納付する住民税は債務控除の対象となります。なお、所得税と異なり住民税は死亡した年度についてはかかりません。住民税は年末に生存している人にしか課税されないためです。

③ 固定資産税

債務控除の対象

 
固定資産税も死亡後に納付する部分については債務控除の対象となります。なお、共有不動産の固定資産税についてはその持分に応じて債務控除の対象とします。

④ 介護保険料、後期高齢者医療保険料等

債務控除の対象

 
死亡後に各種保険料を納付した場合には債務控除の対象となります。もちろん、その後その保険料が還付された場合にはその還付金は相続財産に計上する必要があります。

3.とりあえず資料は全て保管して税理士に渡すのが得策

1.2.で一般的な取扱いについて述べましたが、書類の内容によっては個別に判断を要するものも遭遇します。

おすすめは年金、高額療養費、介護保険料、税金など書類(還付通知書や納税通知書など)をひととり収集して整理して保管し、担当の税理士に判断を委ねるのが得策かなと思います。

これらは一般的に金額の小さいものが多いですが、記載すると記載しないとでは申告書の精度に差が生じます。

課税当局に申告書の精度が良くないと判断されると申告書の全般の内容も厳しめにチェックされる可能性があります。

信頼できる税理士さんに任せましょう!

■編集後記

午前中はお客さまと打合せ。午後から税理士業&ブログ

夕方から三重県に移動します。

■運動は仕事

筋トレオフ。

 税理士 丹尾 淳史

1984年10月30日生まれ。滋賀県大津市生まれ。京都府長岡京市在住。ひとり税理士。相続や会社・フリーランスのための経理やお金を残すサポートが得意。前職は営業マン⇒製造(フォークリフトマン&夜勤塗装)⇒フリーター⇒税理士補助といろんな職種を経験。ビッグ4(現:デロイトトーマツ税理士法人)にも在籍。いい意味で税理士っぽくない税理士。趣味はランニング、バイク、フルート、風景写真。詳細はこちら

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