【自社株/事業承継】金融機関が算定した自社株の評価が過大となる理由。精度の高い自社株算定こそが事業承継の最初の大きな一歩!

気持ちよくお昼寝 in 海遊館
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税理士
にお あつし

こんにちは!

マラソン・バイク・フルートをこよなく愛する

京都府長岡京市在住の税理士の丹尾 淳史(にお あつし)です。

今回は、自社株の評価、金融機関と税理士の株価評価の違いについて綴ってみました。

自社株を後継者に承継するために自社株の株価を算定をする

会社の業績の好調が続けば、会社の自社株の評価額は上がります。

自社株の評価額が高いと、後継者にその自社株を承継する際に、多額の相続税、贈与税、所得税などの税金コストが発生する可能性が高くなります。

そのため、現役の社長は後継者に自社株を承継する準備として、自社株の株価を算定し、自社株の評価額を基準に、自社株の株価を下げる、又は、将来の株価の上昇を抑制することを目的に、様々な対策を検討・実施します。

自社株の算定は誰が得意なのか?又は誰に依頼すべきなのか?

一般的には、顧問税理士に依頼するのが望ましいでしょう。

自社株を算定するためには、

・会社の複数年の会計情報(商流の流れ・取引の理解度も含む)、税務の申告内容(会社特有の税務論点)

・不動産の(賃貸借などの)権利関係、土地の形状や評価算定の手法

・子会社の株式を保有しているのであれば、その子会社の財務状況

・各資産の時価や評価算定の手法 など

の情報が必要となります。

外部の専門家で最もこれらの情報にアクセスし、中身を知っているのが顧問税理士となります。

ただし、最近では、ある一定の条件下のもとで、生命保険会社等の金融機関が、「株価評価業務をしますよ」と営業している光景を見かけることが増えてきました。

自社株評価額が過大になると金融機関にとっては都合がよい!?

前節で、生命保険会社等の金融機関が、一定の条件下のもとで、株価評価をすることがある、と述べました。

一定の条件下とは何か?

それは生命保険会社等の金融機関が算定した株価の評価額は、個別具体的な税金計算や税務申告には使えないということです。(生命保険会社等の金融機関の株価算定書に、小さな文字でその旨が目立たない箇所に記載されています。)

個別具体的な税金計算や税務申告には使えない理由として、もちろん税理士法の絡み(株価評価(課税標準)を含む個別具体的な税務相談は無償、有償にかかわらず税理士しかできない。)もありますが、一番の理由は、その株価評価が簡易計算だからです。

言い換えれば、生命保険会社の場合には、個別具体的な税金計算や税務申告のための株価評価ではなく、生命保険会社の保険商品提案用の株価評価、となります。

生命保険会社等の金融機関の株価評価は、決算書や税務申告書の表面上の数値をシステムに記入、土地の評価も路線価×地積を乗じただけの簡易な株価評価となります。

簡易な株価評価は自社株の評価額が過大に算定される傾向にあります。

そして、自社株の評価額が過大になるほうが生命保険会社等の金融機関にとって都合がいいのです。

例えば、現預金を生命保険に資産換えすることで自社株の評価額を下げるという手法があります。

例)現預金1,000万円を原資に生命保険契約を締結し、現預金1,000万円を生命保険金1,000万円資産換えした

現預金は、残高が評価額となるため、評価額1,000万円。

これに対し、

生命保険は解約返戻金で評価するので、払込保険料が1,000万円だとしても、生命保険のその時点の解約返戻金が100万円だとすると評価額は100万円となります。

資産換えをすることで、1,000万円の評価額→100万円の評価額

資産の評価額を下げると、これらの資産を構成要素とする自社株の評価額も連動して下がります。

生命保険会社は、簡易な株価評価で自社株の評価額が大きくなればなるほど、金額の大きな保険商品を提案しやすくなります。

それは会社にとって本当に良いことでしょうか?

生命保険にお金をかけるということは、会社の資金の一部の流動性が失われれることになります。

資金の流動性が失われれると本来の事業経営(特に資金繰り)に影響を及ぼすことになります。

もちろん生命保険は役員退職金の原資など有効活用できる手段の一つではありますが、お金をかける限度はあります。

精度の高い株価評価をすることが最初の大きな一歩

生命保険会社等の金融機関は、保険商品等で多額の利益を見込めるため、株価評価の簡易計算を無償で実施する傾向にあります。

ただし、簡易な株価評価で算出された自社株の評価額を基準に自社株承継の対策を実施すると、結果的に、必要以上の多額のコストを支払うリスクがあります。

自社株の評価額を下げる最も有効な方法は、株価算定の精度を上げるということです。

例えば、会社が保有する土地の評価

簡易な株価算定の場合には、

路線価×地積を乗じる、のみですが、

精度の高いの株価算定の場合には、

土地の形状、現地調査の内容、(賃貸借等の)権利関係などを検証し、土地の評価額をもっと下げることができるか緻密に調査します。(必要に応じ、不動産評価(鑑定)の専門家である不動産鑑定士にお金をかけて依頼することもあります。不動産が会社の財産に占める割合にはよりますが、それぐらい土地の評価額自社株の評価に大きな影響を与えます。)

土地評価の精度を上げるだけで、現預金を保険商品に資産換えして事業の資金繰りを悪化させることなく、株価評価を下げることが可能となります。

土地以外の資産も同様。

また、株価算定全体の精度を上げるだけで、各の資産の評価額で直接自社株の株価を下げたり、その会社の実情にあった対策が浮かび上がり、提案・実施することができます。

自社株対策のまず最初の大きな1歩は、精度の高い自社株算定を実施すること、これを私は提案いたします。

当事務所のご案内

当事務所は資産税(相続税、贈与税、譲渡所得税、不動産評価、自社株評価など)に強い長岡京市の税理士兼行政書士です。

株価評価や不動産評価のスポット対応も承っております。(株価評価の依頼はこちら、不動産評価の依頼はこちら

リモートで全国のご相談も承っておりますので、お困りの方はぜひお問い合わせ下さい。(問い合わせはこちら

-編集後記-

午前中は読書と筋トレ。

午後から少しだけ仕事をしました。

夕方は60分程ランニング。だいぶ涼しくなってきましたね。

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