【相続税】申告期限を過ぎた後に相続税がかかることが判明。余計な税金を払う可能性もあるので注意。

大きな口に見える in 妻籠宿 NikonD780 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E
大きな口に見える in 妻籠宿 NikonD780 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E

申告期限(相続開始から10か月以内)を過ぎたあとに相続税がかかること判明し、相続税の申告の手続きをする案件を受けることがあります。

こういった案件は本来は払わなくてもよい相続税を払う可能性が高く、「本当にもったいない。もっと、早く相談して頂いていたらこんなことには…」と思うことがしばしばあります。

申告期限後に相続税がかかることが判明するケース

申告期限後に相続税がかかることが判明するケースは以下のような事例です。

亡くなった被相続人の相続財産が、主に預貯金と不動産。

最近は遺産分割協議書を作成しなくても、相続人全員が実印を持参して金融機関に行けば相続人全員の合意のもと預貯金の相続手続(被相続人から相続人へ財産を移転)ができる場合もあります。

このため、預貯金だけは相続手続きをすませ、不動産の相続手続きは未実施というケース。

ただ、あるタイミングで不動産の相続手続きが必要となり、知り合いの税理士へ連絡。

連絡を受けた税理士は知り合いの司法書士さんに引継ぎをする(登記業務は司法書士の独占業務)ために、相続のヒアリングや資料収集をします。

このヒアリングや資料の収集をしながら相続財産の財産評価を進めると、なんだか相続税がかかりそうな予感が!?

税理士「あれ、この相続案件って相続税がかかりそうですね?既に申告は済ませましたか?」

お客様「相続税かかるんですか?かからないと思ってたけど…。提出はまだです」

こういったケースは特に増えているいるように思います。

相続税の優遇規定の多くが申告期限内に申告してはじめて適用される。

小規模宅地等の特例。

小規模宅地等の特例のひとつに

亡くなった人と同居していた親族等がマイホームの家屋とその敷地を相続するときは、敷地の時価を80%評価を下げることができる(地積330㎡を限度)というものがあります。

例えば、マイホームの敷地が100㎡で時価3,000万円だったしましょう。

通常は時価3,000万円に相続税の税率を乗じて相続税は算出するのですが、

小規模宅地等の特例を適用すれば

3,000万円-3,000万円×80%=600万円

600万円に相続税の税率を乗じて相続税を算出することになります。

相続税の税率が10%とした場合、理論上は

小規模宅地等の特例を適用しなければ3,000m万円×10%=300万円の相続税

がかかり、

小規模宅地等の特例を適用すると600万円×10%=60万円の相続税

がかかるということになります。

差額240万円。

小規模宅地等の特例はかなりの節税効果があります。

ただし、この小規模宅地等の特例を適用するためには申告期限まで相続税の申告書を提出して一定の手続きをする必要があります。

従って、前節のように申告期限後に相続税が発生することが判明した場合には、申告期限を過ぎているため小規模宅地等の特例が適用できません。

小規模宅地等の特例だけではなく、税金に関する優遇規定の多くは申告期限内に申告書を提出することを要件にしています。

感覚的に「相続税はかからないだろう」と判断することは危険

前々節のケースは、

お客様が「相続税がかかるぐらいの相続財産はないだろう」と感覚的に判断していることが多いです。

相続税が発生するかどうかは

Step➀被相続人の相続財産や相続人を調査。

Step②相続税財産は財産評価基本通達をもとに時価評価。

Step③相続財産の時価の合計額が遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を越えるかどうかを判定。(超えたら相続税が発生。)

というStepを踏むことになります。

簡単には書きましたが、Step①、Step②についてはかなりの労力と時間が必要となります。

原則は相続人ご自身で判断することになりますが、もちろん税理士が代わり判断したり、相続税の申告書を作成することも可能です。

このStepをほうっておくと、前々節のように申告期限後に相続税が発生することが判明し、優遇規定が使えず余計な税金を払う可能性が高くなります。

また、近年課税当局(税務署)の相続税の税務調査の数は増加しており、特に無申告の摘発が増加しています。

税務署の指摘後に相続税申告をすることになると、相続税の他に更に高額な罰金(加算税)も払うことになります。

相続税の申告期限は相続開始から10か月以内。

その期限内に相続税がかかるかどうかを知ることを大切です。

相続税がかかるどうかの判断に自信がないときは、是非一度税理士にご相談ください。

相続税がかかる場合には、できる限りの優遇規定を適用して合法的に節税をしますし、

かからないこと場合でも、税金がかからない保証を担保することができ、

税務署の調査がはいっても税理士が代理で税金がかからない旨を主張することができます。

是非、税理士を頼ってくださいね。


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■編集後記

午前中は相続税手続きで金融機関と法務局出張所へ。

法務局出張所の近くが嵐山なので用事が済んだあと散策。

帰宅後、60分程ジョギング。

税理士 丹尾淳史
税理士 丹尾淳史

1984年10月30日生まれ。滋賀県大津市生まれ。京都府長岡京市在住。ひとり税理士。相続や会社・フリーランスのための経理やお金を残すサポートが得意。前職は営業マン⇒製造(フォークリフトマン&夜勤塗装)⇒フリーター⇒税理士補助といろんな職種を経験。ビッグ4(現:デロイトトーマツ税理士法人)にも在籍。いい意味で税理士っぽくない税理士。趣味はランニング、バイク、フルート、風景写真。詳細はこちら

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