過去から通帳のお金の流れの精査についてまとめてみました。
通帳でお金の流れを精査
相続税の実務では、亡くなられた方の過去の通帳(過去5年分~)のお金の流れを精査するという業務があります。
通帳からある程度まとまった金額の引き出しがあったときに、その引き出したお金が別の財産に変わったのか、それとも生活費として世に出て行ったのかを調査するためです。(別の財産に変わった場合には、別の財産として相続財産に含めているかをチェックします。)
お金の流れで事実確認がしやすいのは、預金振替、贈与、動産/不動産の購入、サービス契約(例「生命保険契約」)かなと思います。
ただ、事実確認をしやすいというのは税務署にとっても同じであり、相続財産への足し忘れが発覚しやすいです。
税務署に指摘されると延滞税や過少申告加算税が課されます。
逆にお金の流れで事実確認が難しいのが、現金(いわゆるタンス預金)と生活費かなと思います。
タンス預金については遺族には知らされてなく、ご本人しかありかを知らないということもよくあります。
また生活費については、客観的にその家族の生活費が毎月300,000円だと見積もっても実際には500,000円かかるということもあります。
税務調査でその差額200,000円の部分について指摘される可能性もあるので、その差額200,000円部分、例えば年に1回の家族旅行のための支出など、説明ができるように事前に事実内容を整理しておく必要があります。
大切なことは、まとまったお金を引き出したときは、「記録しておく、契約書などの書類を保管しておくこと」です。
知らないところで税務署の調査も開始!?
「相続が発生したときに税務署はどこまで調査をするの?」という質問を受けます。
これ自体は私も税務署の人間ではないので正確なことがわかりませんが、かなり詳細に調査していることは確かです。
相続税の申告が完了したあとに、後日税務署から「その被相続人の○○郵便局の○○口座も相続財産に含める必要があるので修正申告書の提出をお願いします。」と電話があることもあります。(この電話があると延滞税や過少申告加算税が課される可能性大)
遺族の方も○○郵便局の○○口座の存在を知らず、びっくり。
相続の開始があったときに、税務署は金融機関に被相続人の口座情報の開示を求めることができます。開示された口座情報からおカネの流れをみて芋づる式で、他の通帳の存在を炙りだすことが可能です。
ここでも大切なのは、ご本人の記録により又は契約書などの書類を保管によりまとめた情報がしっかり遺族の方に引き継がれているかです。
お金の流れの整理も大切な生前対策のひとつ
過去のお金の流れをみながら、事実確認をできる書類は整備されているか、その引き出し額を客観的に説明することはできるか一つ一つ整理しておきましょう。
ご自身のみで整理することが難しいときは、税理士や司法書士などの専門家に一度相談してみるのもありかと思います。
ご自身の整理が適切がどうかレビューを受けることもでき、また専門家と話すことで豊富、かつ、記帳な知識を仕入れることができますので。
預貯金のお金の流れをしっかり整理することも大切な生前対策のひとつということを念頭に置くことが大切です。
■編集後記
朝食はコーヒーとバナナ
■運動は仕事
仕事の合間に筋トレ&移動は徒歩
1984年10月30日生まれ。滋賀県大津市生まれ。京都府長岡京市在住。ひとり税理士。相続や会社・フリーランスのための経理やお金を残すサポートが得意。前職は営業マン⇒製造(フォークリフトマン&夜勤塗装)⇒フリーター⇒税理士補助といろんな職種を経験。ビッグ4(現:デロイトトーマツ税理士法人)にも在籍。いい意味で税理士っぽくない税理士。趣味はランニング、バイク、フルート、風景写真。詳細はこちら
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