【相続税】「前回の相続で相続税を払ってないし財産も増えてないので相続税はかからない」という考えは危険である理由。

鴨川に浮かぶ十字架  NikonD780 AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
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一次相続で相続税を払ってないし財産も増えていない場合には、相続税はかからない!?

税務コンサルティングの過程で相続税の試算を提案するときに、

「前回(一次相続)の父(母)の相続では相続税は払っていないし、母(父)の代で財産が増加したわけではないので、今回(二次相続)も相続税はかからない。」

という回答を頂くことがあります。

念のために簡易的に相続税の試算をすると相続税が発生する、又は、税制上の優遇規定を使えば相続税は発生しないけど、優遇規定の適用をするために相続税の申告書を提出しなければいけない事案に巡り合うことがあります。

このような感覚的に物事を判断したり、自分にとって都合の良い“思い込み”は税務ではかなり危険です。(税務署も容赦しません。)

また、一次相続では相続税がかからなかったのに、なぜ二次相続で相続税が発生するのか(又は発生するリスクがあるのか)、そのポイントを抑えておくことも大切です。

二次相続で相続税が課税される要因とは!?

一次相続の父(母)の相続では相続税は払っていないし、母(父)の代で財産が増加したわけではないのに、二次相続で相続税がかかる可能性がある、

それはなぜか?

代表的な要因を3つ挙げてみました。

二次相続は一次相続に比べて基礎控除額が小さくなる傾向にある

相続税がかかるか、又は、かからないかの判断は、遺産(財産-債務)の時価の合計額が遺産に係る基礎控除額(以下「基礎控除額」)超えるか、又は、以下でします。(超える場合には相続税が発生し、以下の場合には相続税は発生しない)

基礎控除額は30,000千円+6,000千円×法定相続人の数で計算します。

例えば、父、母、子 3人の計5人の家族で、父の相続が一次相続、母の相続が二次相続のケースの場合には、一次相続の基礎控除額は54,000千円(=30,000千円+6,000千円×4)、二次相続の基礎控除額は48,000千円(=30,000千円+6,000千円×3)となり、一次相続→二次相続で基礎控除額は6,000千円減少します。

土地の時価が上昇している可能性がある

一次相続から二次相続にかけて土地の時価が変動していることがあります。

人口増加率の高い地域交通の整備や建物の建設など都市開発が現在進行中の地域では、土地の時価が年々高くなる傾向にあります。(長岡京市も該当)

そのためこのような地域に不動産を所有していると、時が経つにつれて不動産の時価が上昇し、相続税が発生する可能性が高くなります。

一次相続で適用できた税制上の優遇規定では二次相続は適用できない

先程、父、母、子 3人の計5人の家族で、父の相続が一次相続、母の相続が二次相続のケースの場合、

一次相続では配偶者の相続税額の軽減(母が相続した財産が1億6,000千円以下であれば、母は相続税は無税)は適用できますが、二次相続では相続人が子だけなので、この特例は適用できません

また、一次相続→二次相続で、被相続人と相続人の関係、不動産の使用状況などあらゆる事実関係が変化します。

そのため一次相続では適用できて、二次相続には適用できない税制上の優遇規定は、配偶者の相続税額の軽減以外にもたくさんあります。

最も怖い状態は・・・

「前回(一次相続)の父(母)の相続では相続税は払っていないし、母(父)の代で財産が増加したわけではないので、今回(二次相続)も相続税はかからない。」というのは感覚的な考え方です。

感覚的な考え方をしている人の多くは、一次相続時の財産の評価や相続税がかかる、又は、かからないの判断も感覚的やってくることが多く、本来は一次相続で相続税が発生しているのに申告していないケースもあると思います。

仮に税務調査で無申告を指摘された場合には、一次相続及び二次相続ともに、本来払うべき相続税のほかに、無申告加算税、延滞税などの罰金も払わなければならず、納税できない場合には、納税資金の確保のために最悪生活必需品(例:マイホーム)を売却しないといけない可能性もあります。(もちろん相続税の納税義務の時効も考慮する必要はありますが…)

税務は、感覚的に、自分の都合のよい解釈でしてはいけない

税務は、事実関係の整理と税法への当てはめを理詰めですることが大切。

ただ、事実関係の整理と税法への当てはめは難易度の高い作業であり、税務判断が白・黒とはっきり判断がつけられないものも存在します。

税務判断が難しい場合や、納税負担が大きくなるとうな課税リスクについて対策案を考えるときは、税の専門家である税理士にご相談することをおすすめいたします。

私も「■相続・贈与・譲渡などの資産税サービス」を通じて、相談者さまの悩みを解決できるよう税務コンサルティングさせて頂きますのでお気軽にご利用ください。


プロフィール

相続・贈与・譲渡などの資産税サービス

会計・税務サービス

税務相談サービス

事業復活支援金


■編集後記

午前中は税務顧問の打合せ。

午後からスポット案件2件。

■運動は仕事

新緑は楽しみながらバイクで移動

税理士 丹尾淳史
税理士 丹尾淳史

1984年10月30日生まれ。滋賀県大津市生まれ。京都府長岡京市在住。ひとり税理士。相続や会社・フリーランスのための経理やお金を残すサポートが得意。前職は営業マン⇒製造(フォークリフトマン&夜勤塗装)⇒フリーター⇒税理士補助といろんな職種を経験。ビッグ4(現:デロイトトーマツ税理士法人)にも在籍。いい意味で税理士っぽくない税理士。趣味はランニング、バイク、フルート、風景写真。詳細はこちら

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