【相続税】遺産分割協議書の内容だけで相続税の有無を判断してはいけない理由。士業間の連携も大切!

池に浮かぶ枯木  NikonD780 AF-S NIKKOR 24-70mm
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遺産分割協議書でよくみかける遺産

個人的な意見になりますが、税理士が相続税申告のために作成した遺産分割協議書と、他士業が作成した遺産分割協議書とでは、特徴に違いがあります。

税理士が作成した遺産分割協議書は、調査して判明した遺産を漏らさず記載する傾向があり、金額的にそれ程重要でない遺産も記載するため、遺産分割協議書のページ数が多くなりがちです。

いっぽうで他士業が作成した遺産分割協議書は、預貯金、金融商品、不動産、葬式費用など主な遺産のみが記載されており、他の細かい遺産については「遺産分割協議書に記載のない遺産については○○と○○が法定相続分のとおり相続する」などの文言で済ませるケースが多く、遺産分割協議書はコンパクトにまとめられている傾向にあります。

税理士と他士業が作成した遺産分割協議書で共通してよく登場する遺産は、財産であれば預貯金、金融商品、不動産、債務であれば葬式費用で、これらは第3者から客観的な評価証明の書類(預貯金・金融商品であれば残高証明書、不動産であれば固定資産評価証明書、葬式費用であれば請求書・領収書)が存在します。

いっぽうで税理士が作成した遺産分割協議書のみに登場する遺産は、作成者側で証憑書類等から評価額を算定する必要があり、少し面倒くさいものも多いです。

税務上の相続財産の範囲は広い。相続税の有無は「税務上」で判定。

税理士が作成した遺産分割協議書には記載がある遺産で、他士業が作成した遺産分割協議書には記載のない傾向にあるものは、例えば以下のものが挙げられます。

・貸付金(個人や法人に貸し付けた貸付金。被相続人しか知らないことが多い。法人の場合には、決算報告書の内訳書で確認可能)

・未収入金(介護保険料、後期高齢者医療保険料、損害保険料の戻り金など)

・構築物(アスファルト敷駐車場のアスファルトなど)

・家庭用財産(テレビ、本棚、机、椅子、ベットなど日常の生活で使用するもの)

・庭園設備(岩、灯籠など)

・未払生活費(電気代、水道代、インターネット代、治療代、介護代) 

 など

また、税務上の財産には「みなし相続財産」というものがあり、死亡保険金や死亡退職金などはありますが、これらは契約書上、受取人が既に指定されていることもあり、遺産分割協議書には記載されない傾向にあります。

土地の評価についても注意が必要です。

他士業の場合には固定資産税評価額で土地を評価しますが、税務上(税理士)の場合には、路線価など固定資産税評価額とは別の時価で評価するこもあり、評価額も変わります。

そのほか、税務上の財産には、被相続人(亡くなった人)から生前にもらった財産の一部を加算する必要があります。

従って、税務上の財産は範囲が広い傾向にあります。

そして、相続税がかかるどうかは「税務上の財産」で判定することになります。

相続税が発生するかはどうか税理士に聞こう!士業間の連携も大切!

先日、司法書士、行政書士、社会保険労務士、税理士が共同で開催する行政相談に参加しました。(各士業がそれぞれ1~2人担当。)

私も税理士として何人かの相談者さまの相談に対応しました。

休憩中にある他士業の先生の相談内容を聞いていると、「話を聴く限り、あなたの相続財産では相続税はかからないと思うし、かかったとしても微々たるものだと思いますよ!それよりも遺言や遺産分割協議の話をしましょう。云々・・・」という会話が…。

その話を聞いて…。

その会話を聞いた相談者さまが「士業の先生が言ってるんだから相続税は気にする必要がない」と勘違いされるじゃないかと、少し心配になりました。(相続税の無申告が増加し、税務調査で結果的に納税者が不利になることも…)

前節でお伝えした通り、税務上の財産の範囲は広く、相続税がかかるかどうかは税務上の財産で判断することになります。

税金については、やはり税理士に相談して頂くのがやはりベストかなと思います。

また、士業間の連携も大切。

例えば、行政書士や税理士が作成した遺産分割協議書の内容では不動産の登記要件を満たさず、司法書士の先生が遺産分割協議書を再作成するといった事案も聞いたことがあります。

私がいつも懇意にしている司法書士の先生とは、私が作成した遺産分割協議書で不動産の登記ができるかどうか確認して頂くこともありますし、いっぽうで司法書士の先生が抱えている相続案件について相続税が発生するかどうかを判断の依頼を受けることもあります。

相談者さまがリスクをこうむることなく、安心して相続手続きを進めるために士業間でお互い連携をとるのは大切なことだと私は思います。


プロフィール

相続・贈与・譲渡などの資産税サービス

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会計・税務サービス

税務調査等サービス

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■編集後記

本日は法人決算申告1件。

9月になってようやく仕事が落ち着いてきました!

税理士 丹尾淳史
税理士 丹尾淳史

1984年10月30日生まれ。滋賀県大津市生まれ。京都府長岡京市在住。ひとり税理士。相続や会社・フリーランスのための経理やお金を残すサポートが得意。前職は営業マン⇒製造(フォークリフトマン&夜勤塗装)⇒フリーター⇒税理士補助といろんな職種を経験。ビッグ4(現:デロイトトーマツ税理士法人)にも在籍。いい意味で税理士っぽくない税理士。趣味はランニング、バイク、フルート、風景写真。詳細はこちら

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