【相続税/贈与税】不動産評価業務を外注に出さない理由について

実家の庭の仲良しほおずき NikonD780 AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
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同業者の呑み会で「現在、相続税の案件を10件程抱えている」という税理士の先輩がおられました。

「同時にその案件を捌けるのはすごいですね」とお伝えしたところ、「不動産の評価については民間会社に外注に出しているから税理士は(スタッフを使って)申告書作成に集中できるので可能。よかったらその会社に紹介してあげるよ」とのこと。

「そういう手法もあるのか」と感心しつつも私の目指すべき路線ではないなと思いその紹介を断りました。

今回はなぜ不動産評価業務を外注に出さない理由を整理しました。

税理士本人の「経験値」がたまらない

私は不動産評価は「経験」がモノをいう仕事だと考えています。

相続税業務を行う税理士も主に2通りあって

➀収集した資料をもとに書類上の情報のみで不動産評価を行う税理士

②不動産の実地調査を行い、書類上の情報と実地調査で得た情報を総合的に判断して不動産評価を行う税理士

があります。

➀の税理士については、相続税や財産評価の勉強をして「知識」を身につけるとそれなりになれます。(もちろん「知識」を身につけることは「経験」と同じぐらい大切で努力を要します。)

ただ、節税を図りつつ適正な不動産評価をするためには、②の税理士のように「実地調査」で必要な情報を入手する必要があります。

また、不動産は種類(地目)や形状が様々で、不動産ごとに評価のポイントとなる情報が異なります。

そのポイントを見極めるためには実地調査の「経験値」が大切となります。

不動産評価を外注にだすということは税理士本人の「経験値」を放棄することになります。

節税の機会を失う可能性がある

不動産評価は誰がやっても同じ評価額になるものではなく、むしろその逆で評価をする人によって評価額は異なります。

評価額を決定する要素としてぱっと思いつくだけでも

・地目(宅地、雑種地など)

・地積(面積)

・土地の形状

・地面の傾斜度

・土地の奥行距離

・隣接する道路の幅(将来セットバックの可能性の有無)、私道の有無

・道路に接する道幅の距離

・その土地の用途地域

・がけ地の有無

・土地の上にある家屋、構築物(コンクリート敷の駐車場など)とその土地の権利関係(所有権や賃貸借の関係など)

・隣接する土地との利用関係

・路線価、固定資産税評価額、不動産鑑定士が算出した評価額などの時価

・その土地の過去の経緯(取得、利用用途、事件等の経緯)

などがあります。

これらの様々な要素を書類上の情報と実地調査の情報を見比べながらひとつずつ決定していくことになります。

多くの判断を積んでその土地の評価額が決定するため、評価者によって評価額が異なることは自然なことです。

そして、判断する機会が多いということはそれだけ節税する機会も多いということになります。(もちろん適正な評価の範囲内で行うことが前提)

一般的に不動産の評価額は相続財産の全体の評価額の大部分を占め、不動産の評価額が相続財産全体に係る相続額に直接、かつ、大きく影響します。

お客さまと直接会話をし、相続案件の事情をよく知る税理士本人が不動産評価を行ったほうが、お客さまの事情にあった(節税を加味した)不動産評価ができると私は考えます。

不動産評価を外注にだすということは税理士本人が節税する機会を放棄することになります。

「評価額」に責任を持たなくなる

相続税業務に限りませんが、私はお客さまから依頼を受けた業務を外注に出すことはしません。

理由は外注に出すと外注先から納品を頂いた成果物の結果(今回でいうと「評価額」という金額)」しか見ないことになるからです。

評価額について課税当局に指摘を受けると自然と(意識的に)外注先に責任を丸投げしていまう、それがこわいからです。

税理士はお客さまに代わって税金を計算して申告書を作成、申告書の提出後も課税当局へ評価方法の説明、税務調査の立会いなどをします。(これを「税務代理」といいます。)

外注先に責任を丸投げする姿勢は税務代理を果たしているとは言えないのかなと私は思います。

また、外注先に責任を丸投げしないであったとしても、自分の目の届かないところで税金計算に影響する判断が第3者によって行われていることはリスクがあるものと考えます。

以上が私が財産評価を外注に出さない理由となります。

税理士によって「外注」について考え方は様々だと思いますが、手段はどうであれ自分の考えを信じて結果的にお客さまに貢献できればいいと思います。


プロフィール

相続・贈与・譲渡などの資産税サービス

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税務調査等サービス

税務相談サービス


■編集後記

午前中は法人税申告。

午後からお客さまと打合せ。

夕方ランニングを頑張ります。

税理士 丹尾淳史
税理士 丹尾淳史

1984年10月30日生まれ。滋賀県大津市生まれ。京都府長岡京市在住。ひとり税理士。相続や会社・フリーランスのための経理やお金を残すサポートが得意。前職は営業マン⇒製造(フォークリフトマン&夜勤塗装)⇒フリーター⇒税理士補助といろんな職種を経験。ビッグ4(現:デロイトトーマツ税理士法人)にも在籍。いい意味で税理士っぽくない税理士。趣味はランニング、バイク、フルート、風景写真。詳細はこちら

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