・売上高1億円以下規模の事業者で、かつ、原則課税方式で消費税を計算する方→関係あり
・簡易課税方式で消費税を計算する方→関係なし
・2割特例方式で消費税を計算する方→関係なし
公共交通機関の旅費とは
対象となる公共交通機関は以下のとおりとなります。(消費税の仕入税額控除制度における
適格請求書等保存方式に関するQ&A 問42より)
① 船舶による旅客の運送
一般旅客定期航路事業(海上運送法2⑤)、人の運送をする貨物定期航路事業(同法19の6の2)、人の運送をする不定期航路事業(同法20②)(乗合旅客の運送をするものに限ります。)として行う旅客の運送(対外航路のものを除きます。)
② バスによる旅客の運送
一般乗合旅客自動車運送事業(道路運送法3一イ)として行う旅客の運送
(注) 路線不定期運行(空港アクセスバス等)及び区域運行(旅客の予約等による乗合運行)も対象となります。
③ 鉄道・軌道による旅客の運送
・ 鉄道:第一種鉄道事業(鉄道事業法2②)、第二種鉄道事業(同法2③)として行う旅客
の運送
・ 軌道(モノレール等):軌道法第3条に規定する運輸事業として行う旅客の運送
公共交通機関特例とは
3万円(税込)未満の公共交通機関の取引について、適格請求書(登録番号T13桁の記載のある請求書、領収書、レシート等)の交付は免除されます。(以下「公共交通機関特例」という)
公共交通機関の旅費については、特急料金、急行料金及び寝台料金も含まれます。
また、その3万円(税込)未満の金額の判定は、1回の取引金額で判定します。(切符1枚ごとの金額や、月まとめ等の金額で判定しません。
具体例を見てみましょう。
東京‐新大阪間の新幹線の大人運賃が13,000 円であり、1人分の切符を購入した場合には1回の取引金額が3万円未満となるため、適格請求書の交付は免除されますが、4人分の切符をまとめて購入したときは52,000 円となり1回の取引金額が3万円を超えるため適格請求書の交付が必要となります。
(消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問41、問43、問44を参照)
1回の取引金額が1万円(税込)未満の場合
日々使用するJRなどの在来線の運賃、バス代などが当てはまると思います。
売上規模1億円未満の事業主は、公共交通機関特例のほかに一定の規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置が適用できます。
一定の規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置を適用すれば、1回の取引が1万円(税込)未満の取引については、登録番号(T13桁)を確認しなくても、消費税の計算において100%経費(仕入税額控除)の経理処理をしてもいいことになります。
そのため、わざわざ登録番号(T13桁)の記載がある適格請求書の交付を受ける必要はないです。
1回の取引金額が(1万円(税込)以上)3万円未満の場合
日々使用するJRなどの在来線の運賃、バス代のほか、新幹線の切符などがこのカテゴリーに該当します。
1回の取引金額が3万円(税込)未満の公共交通機関の旅費については、公共交通機関特例を適用することができ、登録番号(T13桁)がない領収書等だとしても、消費税の計算において100%経費(仕入税額控除)の経理処理をしてもいいことになります。
そのため、わざわざ登録番号(T13桁)の記載がある適格請求書の交付を受ける必要はないです。
1回の取引金額が3万円以上の場合
1回の取引金額が3万円(税込)以上の公共交通機関の旅費については、公共交通機関特例が適用できないため、適格請求書(登録番号T13桁の記載のある領収書等)の交付が必要となります。
登録番号がある領収書等については、消費税の計算において100%経費(仕入税額控除)の経理処理をしてもよいですが、
登録番号がない領収書等については、現時点では消費税の計算において80%経費(仕入税額控除)の経理処理が認められています。
公共交通機関特例の適用対象外
入場料金や手回品料金は、旅客の運送の対価ではないので、公共交通機関特例の対象となりません。
領収書をもらえない場合には
消費税に限らず、法人税や所得税でも経費として経理するには領収書等が必要になりますが、在来線の電車やバスに乗っていると領収書等が入手できない場合がございます。
私の場合には、電車については切符をスマホで撮影して、その画像を領収書等の代わりにしていますし、バスについては料金を支払うだけで切符の発行もないので、メモ(運賃、バス会社、区間、目的地)を作成し、そのメモを領収書等代わりにしています。
いっぽうで新幹線などの特急列車に乗車するときは、必ず自動券売機で領収書等を発行するようにしています。
ご参考ください。
帳簿の記載方法
消費税の計算上、経費として認められる場合には「帳簿」の要件を満たす必要があります。
「帳簿」の要件とは、
帳簿に各取引ごとに
➀取引先
➁取引日
➂取引内容
➃取引金額
を記載することになりますが、これに加えて
公共交通機関特例を適用する場合には、
例:3万円未満の鉄道料金
と記載する必要があります。
(これは正直面倒くさいので今後の税制改正で「削除」されることを願います。取引先、取引内容、取引金額をみれば特例を使っていることぐらいわかりますからね。)
一定の規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置を適用する場合には、同様に追加で何か記載する必要があるのかと思いますが、実は追加で何も記載する必要はございません。
(消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問108より)
対象者ごとのまとめ
売上高1億円以下規模の事業者で原則課税方式で消費税を計算する方は、「一定の規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置」と「自動販売機特例」を併用して事務負担を軽減させましょう!
簡易課税方式や2割特例で消費税を計算される方は、そもそも消費税計算上の経費(仕入税額控除)を売上高から算定し、請求書、領収書、レシートの登録番号を確認する必要がないので、今回の話はPassしてください。(ただし、所得税や法人税のほうでは、領収書等を保管しないと経費として認められない可能性があるため、領収書等の廃棄はしないでくださいね!)
■本日の仕事
顧問先のインボイス対応、相続税の依頼資料リスト、web面談など
□練習日誌(フルマラソン、サブ4チャレンジ)
筋トレ
1984年10月30日生まれ。滋賀県大津市生まれ。京都府長岡京市在住。ひとり税理士。相続や会社・フリーランスのための経理やお金を残すサポートが得意。前職は営業マン⇒製造(フォークリフトマン&夜勤塗装)⇒フリーター⇒税理士補助といろんな職種を経験。ビッグ4(現:デロイトトーマツ税理士法人)にも在籍。いい意味で税理士っぽくない税理士。趣味はランニング、バイク、フルート、風景写真。詳細はこちら
こんにちは!
マラソン・バイク・フルートをこよなく愛する
京都府長岡京市在住の税理士の丹尾 淳史(にお あつし)です。
私の顧問先のお客さまのボリュームゾーンである売上規模1億円未満の事業主さまに向けてインボイスの情報を発信しております。
今回は交通機関機関の旅費に係るインボイスの取扱いについて述べたいと思います。(2023年10月1日時点の情報をもとに記事を書いております。)