ネットでよく見かけるキャッチフレーズ
「安くて評判の良い〇〇」という言葉をネット広告で見かけることがあります。
○○の箇所にはサービス業の職業がはいることがあり、その中には「税理士」がはいることもあります。
私は税務関係でネット検索をする回数も多いため、税理士紹介会社のプラットフォームが掲げる「安くて評判が良い税理士」のキャッチフレーズの広告を目にする機会も多く、その度に「そんな税理士おるかい!ビシッ!」とツッコミをいれています。
「安くて評判の良い税理士」が存在しない理由、一時的に存在していたとしてもいずれ消えていく理由を次節で述べていきたいと思います。
いっぽうで「安くて評判の良い税理士と思っていたが結果的にお客さまを不義理な対応をする税理士」が存在するというのが私の持論です。
「安くて評判が良い税理士」が存在しない、又は、消えていく理由
私の税理士業界のキャリアは、中規模事務所(従業員15人程度)のスタッフからスタートして、最大手の税理士法人(従業員1,000人以上)を経験し、ひとり税理士として独立して今に至りますが、どんな規模でも税理士の仕事は「労働集約型」という性質からは逃れることはできませんでした。
要は一人当たりの仕事に費やせる時間には上限があり、捌ける仕事量に限界があるということです。(税理士の仕事に限らずほとんど多くの仕事は労働集約型です。)
そして仕事量が増えれば増えるほど個々の業務の品質は下がるという真実から逃れることはできません。
例えば、年間売上高1,000万円を目標とし1件あたりの報酬を50万円とした場合、目標を達成するためには20件(50万円×20件=1,000万円)をこなす必要があります。
「安くて」の税理士は、報酬を半額1件あたり25万円に設定するため、年間売上高1,000万円を達成するために40件(25万円×20件=1,000万円)こなす必要があります。
税理士の仕事は「労働集約型」の仕事であり、仕事に費やせる時間も上限があるため、案件数20件→40件と増加すると1件あたり充てることのできる時間も半分に減少し、連動して個々の仕事の品質も低下します。
加えて「安くて」の税理士は紹介会社に紹介手数料を支払う必要があります。
紹介会社は手数料ゼロを強調して広告していますが、手数料ゼロは依頼者側のみ。
紹介会社は税理士側に報酬の50%~75%の手数料を請求します。
40件もこなしても手元に残る利益は売上1,000万円△手数料1,000万円×50~75% =250~500万円のみ。
これだけの利益だと税理士として事業活動をするモチベーションは1-2年を保つことができますが、長期間継続することは難しいと思います。
利益が少ないなか、仕事にも追われ、品質が低下し、クレーム数も増加、ますますモチベーションはだだ下がり。そして自滅の方向へまっしぐら、いつの間にかこの業界からドロップアウトという流れになります。
もし、既存のお客さまを抱えていた場合、自分が自滅するというのは既存の大切なお客さまに多大な迷惑をかけることになります。
また、「評判の良い」というフレーズは紹介会社が集約目的で使用している都合の良い言葉。
そんな紹介会社の都合の良い言葉に頼るのではなく自分自身も一事業者として対面・ネットの双方でしっかり営業しましょう。
税理士としての営業の経験値もお客さまによっては価値あるものとして提供できることもあります。
最後に、報酬が安いからそのお客さまとの契約を金銭的な理由で容赦なく切るというのも不義理な対応かなと思います。(もちろんしっかりとお客さまに事情を説明し理解して頂いたうえで契約を解除するのはありですが。)
私は、お客さまと税理士の関係はそんな浅い関係ではないと思います。
お客さまの事業活動の生命線であるお金の流れ、そしてお金の流れに影響の大きい税金面を見ている仕事だから。顧問契約の税理士は、お客さまにとって一番の相談相手の士業であることに誇りを持ちましょう。
お互いが、事業主として、各分野の専門家として、そして良き友人としての関係が、お客さまと税理士の関係かなと思います。
AIやChatGptは「量」ではなく「質」をあげるのに最適。
ITやAIツールが進化するに連れて一定の業務フローが省略・効率化できるのは事実です。
税理士の仕事も今までスタッフを数人雇っていた業務も税理士ひとり(with ChatGptなど)でこなすことも比較的に容易になりました。
ただ、一定の業務フローの省略・効率化で空いた時間でより多くの案件の数をこなすという方向性は私は違うような気がします。
むしろ既存のお客さまに対して今まで提供したかったけど時間の制約もあり提供できなかったサービスに時間を投下するようにしています。
税務相談や会計帳簿・決算書・税務申告書の作成だけが税理士の仕事ではありません。
会計や税務という会社のお金の中身に一番携わっている専門家だからこそできる仕事、税金費用を加味した資金繰分析や予算計画の策定は一つの例ですが、個々のお客さまに対して提供するサービスにつき付加価値を上げていくことが大切です。
また、空いた時間を仕事に充てるのではなく、勉強や遊び、家族や友人との時間に充てることも大切です。
前節でも述べましたが、既存のお客さまを抱えていた場合、自分が自滅するというのは既存の大切なお客さまに多大な迷惑をかけることになります。
仕事を抱えすぎて自滅しないように(低単価で仕事を抱えすぎて自滅するのは論外ですが)、仕事以外の時間をしっかり確保することを意識しましょう。
そのためのITやAIツールの存在かなと思います。
今回は以上となります。
是非、ご参考ください。
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にお あつし
こんにちは!
滋賀県大津市出身で京都府長岡京市に事務所を構える
税理士の丹尾 淳史(にお あつし)です。
今回はネットで見かけるキャッチフレーズ「安くて評判の良い税理士」が実際にはいない理由について自分の考えを整理しました。