・売上高1億円以下規模の事業者で、かつ、原則課税方式で消費税を計算する方→関係あり
・簡易課税方式で消費税を計算する方→関係なし
・2割特例方式で消費税を計算する方→関係なし
自動販売機及び自動サービス機の範囲とは
適格請求書の交付義務が免除される自動販売機及び自動サービス機は以下のとおりとなります。(消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問47より)
〇対象となる自動販売機及び自動サービス機の定義
代金の受領と資産の譲渡等が自動で行われる機械装置であって、その機械装置のみで、代金の受領と資産の譲渡等が完結するもの。
難しいですね・・・。(ちなみに資産の譲渡等とは、資産の販売や貸付け、サービスの提供を意味します。)
例を挙げると
・自動販売機(機械装置)による飲食料品の販売
・コインロッカー(機械装置)の保管サービス
・コインランドリー(機械装置)の洗濯サービス
・金融機関のATM(機械装置)による手数料を対価とする入出金サービスや振込サービス
などとなります。
自動販売機特例とは
3万円(税込)未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等については、適格請求書(登録番号T13桁の記載のある請求書、領収書、レシート等)の交付は免除されます。
これを「自動販売機特例」といいます。
自動販売機特例の対象となるのは、前節の例で示したとおりとなります。
1回の取引金額が1万円(税込)未満の場合
売上規模1億円未満の事業主は、自動販売機特例のほかに一定の規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置が適用できます。
一定の規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置を適用すれば、1回の取引が1万円(税込)未満の取引については、登録番号(T13桁)を確認しなくても、消費税の計算において100%経費(仕入税額控除)の経理処理をしてもいいことになります。
そのため、わざわざ登録番号(T13桁)の記載がある適格請求書の交付を受ける必要はないです。
1回の取引金額が(1万円(税込)以上)3万円未満の場合
1回の取引金額が3万円(税込)未満の自動販売機や自動サービス機の使用については、自動販売機特例を適用することができ、登録番号(T13桁)がない領収書等だとしても、消費税の計算において100%経費(仕入税額控除)の経理処理をしてもいいことになります。
そのため、わざわざ登録番号(T13桁)の記載がある適格請求書の交付を受ける必要はないです。
1回の取引金額が3万円以上の場合
1回の取引金額が3万円(税込)以上の自動販売機や自動サービス機の使用については、公共交通機関特例が適用できないため、適格請求書(登録番号T13桁の記載のある領収書等)の交付が必要となります。
登録番号がある領収書等については、消費税の計算において100%経費(仕入税額控除)の経理処理をしてもよいですが、
登録番号がない領収書等については、現時点では消費税の計算において80%経費(仕入税額控除)の経理処理が認められています。
自動販売機特例の特例の適用対象外
対象となる自動販売機及び自動サービス機の定義は、
代金の受領と資産の譲渡等が自動で行われる機械装置であって、その機械装置のみで、代金の受領と資産の譲渡等が完結するもの。
となります。
従って
➀小売店内に設置されたセルフレジを通じた販売
→理由:機械装置により単に精算が行われているだけのもので、セルフレジ(機械装置)に対価を支払ってサービスを受けたわけではないため。(対価を支払ったのは商品等の購入)
➁コインパーキングや自動券売機
→理由:代金の受領と券類の発行はその機械装置で行われるが、その機械装置に対価を支払ってサービスを受けたわけではないため。(対価を支払ったのは駐車場等の使用)
➂ネットバンキング
→理由:ネット上での取引であり、ATMのような機械装置を使用しないため。
などは、自動販売機特例の対象外となります。
帳簿の記載方法
消費税の計算上、経費として認められる場合には「帳簿」の要件を満たす必要があります。
「帳簿」の要件とは、
帳簿に各取引ごとに
➀取引先
➁取引日
➂取引内容
➃取引金額
を記載することになりますが、これに加えて
自動販売機特例を適用する場合には、
例:自動販売機を使用した場合には、「〇〇市 自販機」、
例:金融機関でATMを使用した場合には「××銀行□□支店ATM」
と「住所等」を記載する必要があります。
(これは正直面倒くさいので今後の税制改正で「削除」されることを願います。取引先、取引内容、取引金額をみれば特例を使っていることぐらいわかりますからね。)
一定の規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置を適用する場合には、同様に追加で何か記載する必要があるのかと思いますが、実は追加で何も記載する必要はございません。
(消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問108より)
対象者ごとのまとめ
売上高1億円以下規模の事業者で原則課税方式で消費税を計算する方は、「一定の規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置」と「自動販売機特例」を併用して事務負担を軽減させましょう!
簡易課税方式や2割特例で消費税を計算される方は、そもそも消費税計算上の経費(仕入税額控除)を売上高から算定し、請求書、領収書、レシートの登録番号を確認する必要がないので、今回の話はPassしてください。(ただし、所得税や法人税のほうでは、領収書等を保管しないと経費として認められない可能性があるため、領収書等の廃棄はしないでくださいね!)
■本日の仕事
午前中はオフ。(運転免許の更新)
午後から個人申告の資料依頼リスト、税務顧問の経理。
□練習日誌(フルマラソン、サブ4チャレンジ)
60分ジョグ
1984年10月30日生まれ。滋賀県大津市生まれ。京都府長岡京市在住。ひとり税理士。相続や会社・フリーランスのための経理やお金を残すサポートが得意。前職は営業マン⇒製造(フォークリフトマン&夜勤塗装)⇒フリーター⇒税理士補助といろんな職種を経験。ビッグ4(現:デロイトトーマツ税理士法人)にも在籍。いい意味で税理士っぽくない税理士。趣味はランニング、バイク、フルート、風景写真。詳細はこちら
こんにちは!
マラソン・バイク・フルートをこよなく愛する
京都府長岡京市在住の税理士の丹尾 淳史(にお あつし)です。
私の顧問先のお客さまのボリュームゾーンである売上規模1億円未満の事業主さまに向けてインボイスの情報を発信しております。
今回は自動販売機、自動サービス機のインボイスの取扱いについて述べたいと思います。(2023年10月1日時点の情報をもとに記事を書いております。)