【税理士】生命保険会社等の金融機関から“あえて”一定の距離を置く税理士の需要を考察

台風10号が残した風景
台風10号が残した風景
税理士
にお あつし

こんにちは!

マラソン・バイク・フルートをこよなく愛する

京都府長岡京市在住の税理士の丹尾 淳史(にお あつし)です。

今回は、生命保険会社等の金融機関から一定の距離を置く、ということについて綴ってみました。

修業時代に感じた大きな違和感。

私が税理士業界に入りたてのときに最も感じた違和感。

それは会計事務所のスタッフがまるで生命保険会社の営業マンのように顧問先に生命保険の営業をし、保険契約数や契約保険金額を争っていたこと。

当時は、毎週水曜日に生命保険会社のスーツをビシッと決めた社員さんが事務所の朝礼に参加をし、

・事務所内の職員の保険契約数や契約保険金額のランキング

・京滋地区の会計事務所の保険契約数や契約保険金額のランキング

・保険契約数や契約保険金額に応じた景品(旅行、伊勢エビなどの豪華な食品)

を声高らかに発表していました。

契約すると紹介手数料の一部がスタッフの報酬となるため、会計・税務の研磨をそっちのけで、生命保険の営業に注力するスタッフもおり、明らかに生命保険契約が必要でない顧問先に生命保険を提案しているスタッフもいました。

私自身は生命保険会社と会計事務所の関係(距離の近さ)に違和感があり、

生命保険の営業には注力せず、会計・税務の実務と税理士試験の勉強に注力しました。

(生命保険会社と仲良くしている)一部のスタッフから文句を言われましたが、当時の同僚(約15人)のうち税理士になったのは今のところ私だけなので、結果論ですが、当時の判断は正しかったのかなと…。

保険会社の都合をお客さまに押しつけていないか?

私自身、税務における生命保険契約の有効性もひととおり知っているつもりです。

ただ、メリットがある反面、生命保険を契約すると、長期間(下手すると30年以上)一定のキャッシュの流動性をとめてしまい、資金繰りを悪化させるなどのデメリットもあります。

そのため、顧問先の事業の業績や財務状況をみながら、生命保険契約が有効活用できそうなときに、その時点で初めて生命保険を提案するのが望ましいと思います。

餅は餅屋。

保険契約を提案するときは、税理士が保険の営業マンになるのでなく、個別具体的なプランはプロの生命保険の営業マンに任せて、税理士はその保険契約の内容が顧問先の業績や財務状況、資金繰りや節税等にどのような影響を出るのか会計・税務の専門家の視点でアドバイスするサポート的な立場に徹するのが良いかなと。

また、生命保険会社は民間企業のため、会社内でノルマ(≒都合)があります。

必要ではない生命保険契約を顧問先に契約させるなど、税理士が生命保険会社の都合(≒ノルマ)を顧問先に押しつけるような立ち位置にはいたくないかと。

“距離を置く税理士”の需要もある。

独立開業後も何度か生命保険会社から連絡を頂くことがあります。

「生命保険会社の代理店になりませんか?」

「保険募集人の資格試験を合格できれば、代理店になれますよ。」

「○○組合の保険委員の役員になれば、営業ノルマは免除されますよ」

などの代理店加入の案内の電話が…。

その電話に対し、私は、

「税理士が特定の組織と密接な関係になると、営業ノルマが課せられ、偏った目線で顧問先と関わるリスクがあるので生命保険会社の代理店にはならないです。もし、生命保険契約を検討する場合には、その時にスポットで依頼しますね」と話しております。

生命保険ありきで物事を判断するのではなく、生命保険金もあくまで一つの手段であるというスタンスです。

生命保険金等の金融機関等(以下「金融機関等」という。)とは一定の距離を置くことを常に意識する。

もちろん生命保険のプランを積極的に提案する税理士の需要はありますが、いっぽうで金融機関等から距離を置き、あくまで会計・税務の専門家の視点から、会社の業績や財務状況、資金繰りや節税について助言できる税理士も一定の需要があります。

税理士として業界内のポジショニングを明確にすることは大切です。

金融機関等とは一定の距離を置き、金融機関等のサービスが顧問先にとって必要なときに、はじめて金融機関等を紹介する。

自分が税理士業界に感じた違和感は、自分の独立ライフに介入させない。

自分の商売は自分の意思決定の範疇でコントロールする。(第3者の都合(営業ノルマ)は介入させない)

というのが今の私のポジショニングです。

-編集後記-

法人決算業務と相続税の現地調査。

ロードバイクの坂トレーニング。

夜は税理士のためのChatGptのセミナーを受講予定。

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