【消費税/インボイス】自動引き落としの家賃・地代のインボイス対応のまとめ

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税理士
にお あつし

こんにちは!

マラソン・バイク・フルートをこよなく愛する

京都府長岡京市在住の税理士の丹尾 淳史(にお あつし)です。

私の顧問先のお客さまのボリュームゾーンである売上規模1億円未満の事業主さまに向けてインボイスの情報を発信しております。

今回は自動引き落としの家賃のインボイスの対応方法について述べたいと思います。(2023年10月1日時点の情報をもとに記事を書いております。

対象者と影響度

原則課税方式で消費税を計算する方→関係あり

・簡易課税方式で消費税を計算する方→関係なし

・2割特例方式で消費税を計算する方→関係なし

課税取引と非課税取引の家賃

家賃・地代には、課税取引(消費税の計算上の経費となる取引)と非課税取引(消費税の計算上は経費にならない取引)の2種類があります。

非課税取引に該当した場合には、そもそも消費税の計算において従来から経費ではないので、インボイスの論点はございません。

私の顧問先さまでよく見かける取引で、課税取引と非課税取引をざっくり区分すると、

□課税取引

・事業用(事務所、店舗など)の家賃

・地面の整備、フェンスの設置、区画された駐車場

□非課税取引

・居住用マンションの家賃

・更地の土地(あおぞら駐車場など)

となります。

家賃については、少し注意が必要で、用途(事業用 又は 居住用)によって課税取引、又は、非課税取引に区分しますが、その用途の判定は、実際の用途ではなく、契約書上の用途で判定します。

私なんかが最も良い例で、

私は居住用マンションを税理士事務所として使用しており、契約書上は居住用、実際の用途は事業用となりますが、契約書上の用途で判定するため、居住用となり非課税取引となります。

経費として認められる領収書等

消費税を計算するうえで経費として認められる要件として、「領収書等」の要件があります。(ほかに「帳簿」の要件というものがあります。詳しくは関連記事に記載)

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今回は「領収書等」の要件

「領収書等」の要件は

➀領収書等の発行者名

➁取引日

➂取引内容

税率(10%又は8%)ごとに区分した取引金額(税抜又は税込)と消費税

⑤登録番号(T13桁)

(「⑥書類の交付を受ける事業主の氏名又は名称(スーパーマーケット、タクシーなど不特定多数の者に販売、サービスを提供する場合には不要)の要件があるが、実務上、他の要件より重要性が低いためpass」)

の記載があることが必要で、この5要件を全て満たしてはじめて経費として認められる領収書等となります。(⑤登録番号は、経過措置により、登録番号の記載がなくても、現時点では80%経費として認められます。)

もうひとつ、おさえておきたい考え方として

上記5つの記載事項は、一つの書類だけで全てが記載されている必要はなく、複数の書類で記載事項を満たせば、それらの書類全体で「領収書等」の要件を満たすことになります。

令和5年9月30 日以前からの契約

まずは、従来から契約している事務所・店舗の家賃についてです。

家賃については、賃貸契約をして、その後は指定の口座から家賃を定期的に引き落とすという流れが一般的です。

書類としては、「賃貸契約書」、「通帳」の2つの領収書等(「等」には領収書、レシート、請求書のほか、契約書上、納品書、通帳等を含む)が手元にあるはずです。

賃貸契約書」では、賃貸人と用途、家賃の取引金額と消費税相当額が記載されていますので、領収書等の要件である

➀領収書等の発行者名

➂取引内容

➃税率(10%又は8%)ごとに区分した取引金額(税抜又は税込)と消費税

を確認できます。

また、「通帳」では実際の取引日と実際の取引金額がわかるため、

➁取引日

を確認でき、契約書上の取引金額どおりに実際に引き落としがされてるかどうかの事実確認ができます。

あとは、

⑤登録番号(T13桁)

ですが、まずは登録番号を賃貸人から情報共有をしてもらい、その登録番号を下記リンク先で検索、検索した結果(登録番号の写し)を出力しておきましょう。

国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト

よって、

契約書、通帳、登録番号の写し、をセットで保管していれば、「領収書等」の要件は全ての満たし、消費税の計算上、100%経費となります。

賃貸人が登録番号をもっていない場合には、契約書、通帳を保管し、消費税の計算上、現時点では80%経費として認められます。

令和5年10月1 日以後の契約

考え方は、「令和5年9月30日以前の契約」と同じですが、

令和5年10月1日以後の契約については、賃貸借契約書に登録番号が記載されるものと考えられます。

賃貸借契約書に登録番号が付されている場合には、別途、登録番号の写しの出力は省略可となります。

いつの間にか適格請求書発行事業者でなくなる場合も…

取引の中途で貸主が適格請求書発行事業者(登録番号の保有者)でなくなる場合も想定され、貸主側から連絡がない場合には、その事実を把握することは困難となります。

適格請求書発行事業者以外の者(登録番号がない者)に支払う取引対価の額については、消費税の計算上、現時点では80%まで経費として認められます。

決算日、半年ごと、四半期ごと、と決めて定期的に「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」で貸主が適格請求書発行事業者か否かを確認することをおすすめいたします。

対象者ごとのまとめ

消費税に関していうと

売上高1億円以下規模の事業者で原則課税方式で消費税を計算する方は、今回の話を参考にして家賃・地代の書類を整備してくださいね。

簡易課税方式や2割特例で消費税を計算される方は、そもそも消費税計算上の経費(仕入税額控除)を売上高から算定し、請求書、領収書、レシートの登録番号を確認する必要がないので、今回の話はPassしてください。(ただし、所得税や法人税のほうでは、領収書等を保管しないと経費として認められない可能性があるため、領収書等の廃棄はしないでくださいね!)


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税理士 丹尾淳史

1984年10月30日生まれ。滋賀県大津市生まれ。京都府長岡京市在住。ひとり税理士。相続や会社・フリーランスのための経理やお金を残すサポートが得意。前職は営業マン⇒製造(フォークリフトマン&夜勤塗装)⇒フリーター⇒税理士補助といろんな職種を経験。ビッグ4(現:デロイトトーマツ税理士法人)にも在籍。いい意味で税理士っぽくない税理士。趣味はランニング、バイク、フルート、風景写真。詳細はこちら

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