会社側の変化
太郎さん(仮称)が今まで従業員(雇用契約)だったのに明日から外注(委託)として働くことになった。
この変化の激しい世の中、あなたの身にもこのような働き方の変化が起こるかもしれません。
その会社との関係が従業員から外注(委託)に変わった場合、あなたとその会社に一般的にどのような変化が起こるのか税金を中心にまとめてみました。
まずは会社側の変化をみてみましょう。
【会社側】
①所得税・住民税
太郎さんが従業員だったときは太郎さんの年末調整をしたり、太郎さんの住んでいる市町村に給与支払報告書を提出していましたが、太郎さんが外注になってからはこれらの手続きをやる必要がなくなりました。また、太郎さんが従業員だったときは給与計算、住民税の納付書が太郎さんの住んでいる市町村から送付され、太郎さんの毎月の給与から差し引いて太郎さんの代わりに役場に納付していましたが、太郎さんが外注になってからは給与計算やこれらの手続きをやる必要がなくなりました
②消費税
太郎さんが従業員時代の給料は消費税法上の経費(「仕入税額控除」)になりませんが、太郎さんが外注となって支払われる外注費は消費税法上の経費となります。従って、会社側としては太郎さんが従業員から外注になったほうが消費税の負担は軽減されます。
③社会保険料(健康保険料、厚生年金)、雇用・労働保険料
太郎さんが従業員だったときは会社負担分として太郎さんの給料総額の約15%の社会保険料を年金事務所に、給料総額の約1.3%程(業種により増減)の雇用・労働保険料を都道府県に支払っていましたが、太郎さんが外注になってからはその会社負担分の社会保険料と雇用・労働保険料を支払う必要はなくなりました。
➃その他(道具の支給、時間・空間制約など)
太郎さんが従業員だったときは会社側が仕事に必要なパソコンなどの道具を貸与していましたが、太郎さんが外注になってからは会社側は道具を支給する必要はなくなりました。
いっぽうで、太郎さんが従業員だったときは、会社側は太郎さんを就業規則等で勤務時間や勤務場所を拘束していましたが、太郎さんが外注になってからは太郎さんを就業規則等で時間的に空間的に拘束することはできなくなりました。
⑤【結果】
太郎さんが従業員から外注になることで、会社側は消費税、社会保険料や雇用・労働保険料の税金コストは抑えられ資金繰りはかなり改善(多くの中小企業の資金繰りを圧迫しているのは消費税と社会保険料。)し、年末調整等の事務手続きも軽減されました。
いっぽうで、外注となった太郎さんは自由に仕事を選ぶことができるため、太郎さんを従業員時代のように会社都合で時間的・空間的に拘束することはできなくなりました。太郎さんのスキルの社会的需要が高ければ太郎さんに支払う報酬をあげるか、太郎さんが会社の前から姿を消すことになるでしょう。
従業員→外注になった人の変化
次の太郎さんの変化です。
【従業員→外注になった人側】
①所得税・住民税
太郎さんが従業員だったときは会社が年末調整をして代わりに所得税の申告をしていましたが、太郎さんが外注になってからは太郎さんは個人事業主となるため、自分で売上請求書を発行したり帳簿を作成するなどして自分で所得税を申告して納める必要があります。また、太郎さんが従業員だったときは会社が毎月の給与から住民税を徴収し会社が太郎さんの代わりに市町村に納付していましたが、太郎さんが外注になってからは住民税も自分で納付する必要があります
②消費税
外注となった太郎さんの2年前や1年前の上半期の売上高が1,000万円を超える場合、又は、インボイス登録事業者となった場合には、売上高の10%に一部の経費に係る消費税を差し引くなどして消費税を申告して納める必要があります。
③事業税(+事業所税)
外注となった太郎さんのその年の売上高から経費を差し引いた所得が290万円を超える場合には、その所得の約5%の事業税が課税され、太郎さんの住む都道府県に納める必要があります。(あと、業種や事業規模、市町村にもよりますが事業所税が課税され市町村に納める必要があります。)
➃償却資産税
外注となった太郎さんは自前でパソコンなどの道具をそろえることになりますが、主に不動産と自動車、一括償却資産(10万円以上20万円未満の固定資産)以外の固定資産の取得価額の合計が150万円以上となる場合には、課税標準(取得価額△償却費相当)に約1.4%の償却資産税が課税され、太郎さんの住む市町村に納める必要があります。
③国民健康保険料、国民年金
太郎さんが外注になってからは太郎さんは個人事業主となるため、売上高から経費を差し引いた所得の所得の約10〜15%程度の年間国民健康保険料と毎月一律約18,000円の国民年金を太郎さんの住む市町村に納付する必要があります。いっぽうで雇用・労働保険料を納付する必要はございません。
➃その他(道具の支給、時間・空間制約など)
太郎さんが従業員だったときは会社側から仕事に必要なパソコンなどの道具の支給を受けていましたが、太郎さんが外注になってからは仕事に必要な道具を自前で揃える必要があります。ただし、自前で揃えた道具などは各税目の経費として認められる可能性は高く節税にもなります。
また、太郎さんが従業員だったときは、会社の規則等で勤務時間や勤務場所の拘束を受けていましたが、太郎さんが外注になってからはそういった時間的に空間的な拘束を受けることはなく、比較的自分の裁量で仕事や働き方を選ぶことができるようになりました。
結果的に、太郎さんが従業員から外注になることで、自分で税金を申告・納付したり、事業税(+事業所税)や償却資産税などの従業員時代には課税されなかった新たな税金も扱うようになったりと事務手続きの負担が増加し、道具なども自分で用意することになります。ただし、様々な税金を自分で計算する経験を通じて会計・税金・資金繰りなどの知識・スキルを手に入れやすくなります。
また、外注となった太郎さんは自分の裁量で自由に仕事、働く場所、働く時間帯などを選ぶことができるようになります。太郎さんのスキルの社会的需要が高ければその会社に報酬交渉をしてもよいし、その会社の報酬が低ければ自らその会社との契約を打ち切り別の取引先と契約することもできるなどお客さまを自ら選ぶことができるようになります。
従業員→外注の判断は形式ではなく実態判断
太郎さんが従業員→外注(委託)になることで、会社側も太郎さんも様々な変化が生じます。
それでは会社と太郎さんとの契約を書面上雇用契約書から委任契約書に変えて形式的に書面の体裁を整えれば、太郎さんを従業員→外注(委託)として取り扱うことができるのかというと税務上はそれほど甘くはありません。
税務上は以下の基準をもとに総合的に実態判断をします。(全ての要件を満たす必要はない、あくまで総合的に判断。)
1. 代わりの人が仕事できるか?(外注の場合には、その外注の代わりに別の人が仕事をしてもよい。)
2. 時間や場所の指定があるか?(外注の場合には、時間的・空間的拘束を受けない。)
3.指示や監督があるか?(外注の場合には、仕事の進め方や手順は自ら決定する。)
4.報酬の支払いのタイミングは?(外注の場合には、納品や業務完了など、契約に基づいた「成果」に対して報酬が支払われます。)
5.仕事に使用する道具は誰が用意するのか?(外注の場合には、外注が自前で用意する。)
会社と自分の関係の実態は「雇用」なのか、それとも「外注」なのか?
個人的には「雇用」と「外注」とでは、税金や社会保険料の手続きも大きく異なるどころか、自身の生き方にも大きく影響します。
もちろん両者にはそれぞれメリット、デメリットもあります。
今回は、「雇用」と「外注」とでは、会社側にも本人側にも、これだけ多くの違いがあることを紹介しました。
世の中の変化に対応するためにもこれらの税金知識を身につけることは生存戦略の大きな武器となります。
是非、ご参考ください。
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■京都府
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にお あつし
こんにちは!
滋賀県大津市出身で京都府長岡京市に事務所を構える
税理士の丹尾 淳史(にお あつし)です。
今回は「正社員」→「外注(委託)」となった場合に起きる様々な変化を税理士目線で綴ってみました。