freeeなどのクラウド会計と距離を置く税理士は意外と多い!?
まず、私はfreeeアンチではありません(笑)
私が取り扱っている会計ソフトはfreeeと弥生会計の2つであり、経理効率化の側面からfreeeを推奨しています。
それでも税理士仲間と話していると、さまざまな理由によりfreeeなどのクラウド会計を敬遠する方はそれなりいます。
では、なぜ、一定数の税理士がクラウド会計を敬遠するのか?
それは、おそらくクラウド会計の効率機能がゆえのリスクかなと思います。
クラウド会計の特徴として
1.通帳やクレジットカードの明細を取り込むことができる
2.明細と会計仕訳を紐付けることで自動仕訳が可能となる
3.(クラウド上に経理データを保存しており)お客さまと税理士の両方がいつでもどこでも経理データにアクセスすることができる。
があります。
この3つの特徴を駆使して経理の効率化を進めますが、これらの特徴にはメリットもありますがその裏にはリスクが存在します。
freeeなどのクラウド会計に潜むリスク3選
それでクラウド会計のメリットに潜むリスクを紹介していきます。
まずは1つ目のリスク。
1.「通帳やクレジットカードの明細を取り込むことができる。」のメリットに潜むリスクは、
❝通帳やクレジットカードの明細で同じもの何度も取り込んでしまう❞
これは、クラウド会計ソフト導入初期で操作が不慣れなときに生じやすい誤りです。
明細が会計ソフトに無事に取り込まれているか疑心暗鬼になり、念のためにと何度も同じ操作をしてしまう。
もし、明細と会計仕訳を紐付けした後にこの操作をしてしまうと、収入や経費の二重(以上)計上誤りが生じることもあります。
次に2つ目のリスク。
2.「明細と会計仕訳を紐付けることで自動仕訳が可能となる」のメリットに潜むリスクは、
❝その明細につき誤った会計仕訳を紐付けしてしまうと、その誤った仕訳が期中に積み重なり、適切な業績予測や納税予測ができない❞
クラウド会計の自動で会計仕訳をする機能は、原則、1明細につき1行の会計仕訳を紐付けすることになります。
1明細につき1行の会計仕訳で処理できる取引については自動仕訳しやすいですが、1明細につき2行以上の会計仕訳を要する取引とは相性はよくありません。
例えば、1枚の領収書に8%(軽)と10%の税率の表示があった場合でも、会計ソフトに取り込まれる明細は8%(軽)取引金額(1,080円)と10%(1,100円)取引金額の合計金額(2,180円)で取り込まれます。
本来は、税率8%(軽)の1,080円と税率10%の1,100円の2行に分けて会計仕訳をする必要があるのに、10%の税率2,180円の1行で会計仕訳をしていまい、その取引が何度も発生した場合には、塵も積もれば山となる理論で大きな税金計算の誤りが生じることになります。
最後に3つ目のリスク。
3.「お客さまと税理士の両方がいつでもどこでも経理データにアクセスすることができる。」のメリットに潜むリスクは、
❝いつでもお客様側から入力可能。つまり、過去のデータの修正、決算整理中にお客様側で入力し、その修正・追加入力をしたことを税理士に連絡しないと、税理士側はその入力した経理データが適切がどうか判断する機会を見過ごす可能性がある❞
私の顧問先は期中の経理はお客様側で入力して税理士側はチェックし、期末の決算申告業務は税理士側が単独で行うといったケースが多いです。
税理士が決算整理をしている最中にお客様側で過去のデータを修正をした場合、お客様側から税理士にその修正・追加入力をした旨の連絡がなかったときは、税理士側はその修正したデータの内容に気づかず、チェック・検証する機会を失う可能性があります。
また、決算整理や税金計算が完了した後に、お客様側で追加のデータを入力した場合、再度、決決算申告業務をやり直すこととなり、追加で工数がかかることになります。
税理士主導の経理体制の構築と密なコミュニケーションが大切。
上記に挙げたリスクを回避するには、
やはりお客さまと税理士の密なコミュニケーションが鍵かと思います。
前節であげたリスクのうち
❝通帳やクレジットカードの明細で同じもの何度も取り込んでしまう❞
❝その明細につき誤った会計仕訳を紐付けしてしまうと、その誤った仕訳が期中に積み重なり、適切な業績予測や納税予測ができない❞
については、
・クラウド会計導入時期に税理士がお客様をがっつりサポートする。
・特に銀行預金やクレジットカードの明細と適切な会計仕訳の紐付けは税理士主導で進めること
で大きなリスクは避けられるかと思います。
お客さまが期中の経理を負担なく行うことができるように経理体制を税理士側で構築する。
この経理体制の構築は、個人的に付加価値が高いものと考えています。
❝いつでもお客様側から入力可能。つまり、過去のデータの修正、決算整理中にお客様側で入力し、その修正・追加入力をしたことを税理士に連絡しないと、税理士側はその入力した経理データが適切がどうか判断する機会を見過ごす可能性がある❞
このリスクを回避するには、お客さまと税理士がどれだけ密にコミュニケーションをとれているかがポイントです。
実は、クラウド会計で経理効率化していくと、お客さま側も税理士側も経理に割く時間は減少していきます。
その空いた時間で、お客さまの事業活動の内容についてもっと詳しくヒアリングしたり、税務相談や納税予測、資金繰りなどの様々な相談を受けたり、家族や趣味などプライベートの話に時間を割くことができ、自然とお互いに深いコミュニケーションをとることが可能となります。
そうなれば、お客さまと税理士の間でルールを設定しやすくなり、
例えば、
・決算整理の期間中に、過去の取引に入力もれや修正が必要なことに気づいた場合には、追加入力や修正業務は税理士側が引き受ける。
お客さまが過去の取引につき、会計仕訳の追加入力や修正をした場合には、その仕訳の備考欄にメモを記載してもらう。(税理士はそのメモを頼りに検索してその会計仕訳を抽出することができる)
とルールを決めてリスクを回避することができます。
今回は以上となります。
よろしければご参考ください。
-編集後記-
仕事の合間に祖母のお墓参りに行きました。
お供え用のお花を買いにお寺の近くの花屋さんに。
花屋さんの花に囲まれた空間も良いものですね。
また、定期的に寄ろうと思います。
にお あつし
こんにちは!
マラソン・バイク・フルートをこよなく愛する
京都府長岡京市在住の税理士の丹尾 淳史(にお あつし)です。
今回は、freeeなどのクラウド会計のリスクとその対策について書いてみました。