個人名義の資産を法人の資産(経費)として処理できないか?
社長の個人名義で購入した資産ではあるが、実際は法人の事業活動に使用しているので法人所有の資産として処理はできないか、という質問を受けることがあります。
代表的な資産は、車両と不動産。
もし、法人所有の資産として処理できたとすると、附随して
車両であれば減価償却費、自動車税、車検代、自賠責保険料、任意保険料なども法人の経費として処理することができますし、
不動産であれば、建物の減価償却費、毎年の固定資産税、購入時の不動産取得税、登録免許税など法人の経費として処理することができます。
(経費にできるということは法人側では法人税等の節税になるということになります。)
では、私の回答はと言うと、
原則は、個人名義の資産は法人所有の資産として処理はできない、
となります。
名義変更の必要性と税務調査のポイント
法人名義の資産として処理すると付随して多くのものが経費にできると前節で紹介しましたが、そのためには個人から法人へ名義変更する必要があります。
個人から法人へ名義変更する場合、不動産は所有権移転の登記をする必要があり、車両の場合も自動車検査証の名義変更やナンバープレートを変更する必要があります。
税務上についても、
個人から法人へ資産を移転する方法としては、贈与、譲渡、現物出資などがありますが、どの方法をとっても課税リスクが生じます。
例えば、「贈与」は法人側に受贈益課税、「譲渡」や「現物出資」は個人側に譲渡所得課税、法人側は不動産取得税や登録免許税の発生などです。
また、税務調査で見られるポイントとして
不動産は、売買契約書や登記簿謄本で所有者が法人になっているかの確認。登記簿謄本で所有者から法人になっていると市役所から送付される固定資産税納税通知書も宛名は法人となります。
車両は、自動車検査証の所有者が法人になっているかの確認。自動車検査証の所有者が法人になっていると自賠責保険料や任意保険料の契約者、車検代の領収書の宛名も法人となります。
もし、登記簿謄本や自動車検査証に社長個人の名前が記載されている場合には、前節で紹介した経費(減価償却費、自動車税、車検代、自賠責保険料、任意保険料、建物の減価償却費、毎年の固定資産税、購入時の不動産取得税、登録免許税など)は否認され、追徴課税(罰金を含む)を喰らう可能性が高くなります。
対策方法は個人からの賃借
社長個人名義の資産を法人の事業活動に使用している状態とはどういうことか?
つまり、法人が社長個人からタダで借りて使用させてもらっている状態、
と言い換えることができます。
より厳密に言うと、本来は法人は個人に対して資産の賃借料(時価)を支払う必要があるが、実際には賃借料を支払っていないのでその分得していることになります。
税務上の仕訳で時価100と仮定すると、
法人側は
賃借料(経費) 100 / 受贈益(利益) 100
同額の経費と利益の相殺で損益は±ゼロとなります。
上記は少し難しい話のため、無視して頂いても問題ございません。
ここからが本題。
では、個人の資産を法人の経費とするためにはどうすればよいのか?
対策としては
法人から個人から資産を賃借する代わりに適正対価(時価相当)の賃借料を個人に支払うことです。
この場合の税務上の仕訳で時価100と仮定すると
(法人側)
賃借料(経費) 100 / 現金(資産) 100
損益上は賃借料100が残り経費が増加することになります。
注意点としては、個人側は同額100の収入を収受しているため個人側で確定申告することになります。
賃貸料100の収入と個人資産に関連する経費(今回でいうと減価償却費、自動車税、車検代、自賠責保険料、任意保険料、建物の減価償却費、毎年の固定資産税、購入時の不動産取得税、登録免許税など)の全部又は一部で所得を計算し所得税の確定申告をすることになります。
税金の世界では片方だけが得することはありません。
片方が得するということは、相手側は損したり、煩雑な手続きが必要となります。
それでは今回は以上となります。
良ければご参考くださいね!
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にお あつし
こんにちは!
マラソン・バイク・フルートをこよなく愛する
税理士の丹尾 淳史(にお あつし)です。
今回は多くのお客さまから頂く質問
について綴ってみました。