下請けで仕事を回してあげるよ
独立直後は不安定なこともあり、目先の利益に惑わされ誤った選択をする可能性があります。
私は独立直後、税理士の先輩のツテで、比較的大きな社労士事務所に挨拶に行きました。
その社労士の先生から言われたことは今でも覚えているのですが、
「士業のなかでも特に税理士は食えない。客をとれずにすぐに廃業している税理士を何人も知っている。でも君はラッキーだ。 俺は助成金関係でお客をたくさん抱えているから君に紹介してあげるよ。ただし、税務顧問料の3割を毎月紹介手数料としてもらうからその条件で良かったら契約してあげるよ。」とのこと。
独立直後の私はその言葉を聞いて「税理士の独立はそんなに厳しいのか?」とかなり不安になったことを覚えています。
その下請け契約にサインしようと一瞬迷いましたが、生存本能が無意識に察知したのか、その場の空気には飲まれずに
「一旦事務所に戻って考えます。後日契約にサインするかどうか決めます。」とし、後日お断りの連絡をしました。
今、振り返って見ても 、この契約のサインをしなくて良かったと思います。
報酬の30%を取られ続けるってモチベーションが下がりますからね。
モチベーションは独立ライフを継続するのに重要なエネルギーです。
それに会計や税務の需要はありますし、しっかり営業活動すれば、税理士は比較的安定して食べていける職業かなと思います。
共同経営をしないか?
独立直後は支部活動にそれなりに参加していたこともあり、 同業者の知り合いも多くできました。
既に多くの顧問先を抱えている先生から「 丹尾さん。 僕の事務所に来てくれたら副所長にてあげるよ。一緒に税理士法人をつくろう。」と 依頼を受けました。
ただ、話を聞く限りでは、その先生は税理士業務は職員に丸投げで、その先生自身は支部の役員として支部活動に専念している様子。
おそらく、この先生の下についたら、職員さんとのやりとり、出来上がってきた会計書類や税務申告書のチェック、顧問先の定期訪問などを全て自分がやることになり、かつ、最終定期な決定権は自分にない、この不自由さは独立前と何も変わらないと考え、その依頼をお断りしました。
共同経営をして、すぐに毎月の安定した給与を確保という道もありましたが、これも断る選択して良かった。仮にその事務所の副所長として働いていた場合、今のように自由に働くことはできなかったと思います。
なぜ、独立したか?の初心を大切にする
私のように顧客ゼロスタートをした場合には、独立してしばらくは不安定な時期を過ごすこと可能性が高くなります。
精神的な不安を埋めるためにも、比較的安定が担保された道を選択をしようとする。ただし、安定の裏には決定的に致命的な「足枷(あしかせ)」が存在していることも確かです。
毎月の給与が担保されるが、勤務時間・勤務場所・社内の人間関係、社内評価などの「不自由さ」という足枷(あしかせ)を強要される生き方は、独立前に経験しているはずです。
独立後も、目の前の利益につられ、独立前と同じ不自由さを味わうのは本末転倒かなと。
「自分ななぜ独立したのか?」
私の場合には「自分らしく、人間らしく、自由に生きたいから」というのが独立の理由ですが、迷ったら、その初心(独立の理由)に立ち戻ることが大切です。
実際に独立直後は私も不安定な時期がしばらく続きましたが、今は幸運にも多くのお客さまから仕事のご依頼を頂き事業も比較的安定しております。
また、不安定な時期を営業活動を続けて乗り切れたというのは自信にもなりますし、将来不安定な時期が訪れたとしてもその経験値を応用して乗り切れるかなと思います。
前々節、前節の選択をしないで、
自分で、
・自分が提供する商品の設計やその値付け
・はたらく時間、はたらく場所
・お客さまや付き合う人
・トレーニングや趣味の時間の確保
・営業活動
などを自分の意思で選択できる不安定な独立を選んで個人的には正解だっと感じています。
目の前の利益、安定につられて、ついそれを選択するリスク。
このリスクは人生のいたる場面で遭遇するので意識しないといけませんね。
初心を忘れずに。
当事務所のご案内
当事務所は税務顧問業に加え、資産税(相続税、贈与税、譲渡所得税、不動産評価、自社株評価など)にも強い長岡京市の税理士兼行政書士です。
リモートで全国のご相談も承っておりますので、お困りの方はぜひお問い合わせ下さい。(問い合わせはこちら)
-編集後記-
午前中は税務顧問業。(8月決算2社対応)
1,000m×5本のインターバルトレーニングをしました。
音声でブログのたたき台を書いてみました。
こんにちは!
マラソン・バイク・フルートをこよなく愛する
京都府長岡京市在住の税理士の丹尾 淳史(にお あつし)です。
今回は、開業直後に選択を迫られた選択についてです。